先日、11/11(土)にシンガーソングライターのだいごろうさん(@daigorock)のホールワンマンライブへ行ってきました。
ミュージシャンのライブやフェスみたいなものは基本的に行ったことが無かった気がするので音楽ライブへの参加はこれが人生で初めてだと思います。
1人で2時間近くのライブを行ったり、全国津々浦々で行う路上演奏を行ったりしている他にも、今回のライブでは100人以上のお客さんを集めているなどすごいなと思う点はいくつもあるんですが、今回のライブで1番印象に残っていることは、
「自分の思いをしっかりと歌にしている」
というのがビンビン伝わってきたことです。
普段あまり音楽を聞かない僕ですが、ロックな音楽というのは「自分の思いを自分の言葉で伝える」ものだというイメージを持っています。
だいごろうさんが2時間近いライブの中で歌われた曲はすべて自身で作詞ないし作曲されたもので、聴いている人に「共感」してもらうというよりも「俺はこう思ってるんだ!」というまさにロックの精神を感じることができました。

(当日の演奏の様子です↑)
邦楽でロックと言えば、以前読んだ本の中でロックミュージシャンの忌野清史郎さんが次のように語っていたのをとてもよく覚えています。
「日本のロックや歌の世界はあまりに内容が無い気がしてさ。その辺の苛立ちはすごくありましたね。」(1)
清志郎のこの言葉は一時のブームで歌う楽曲をコロコロと変える商業主義的な態度や有名な曲をカバーするばかりでオリジナルの曲を歌わない路上演奏への批判を込めた言葉ですが、清志郎は他のアーティストに対して「もっと普段喋ってることを歌っちゃえばいいんだ。」ということを強く感じていたのだといいます。(2)
また、中島美嘉の楽曲を手がけたこともある作曲家によれば、2010年頃を境に、音楽的な探究心による楽曲の提供よりも「ポップでキャチー、かつカラオケで歌える楽曲」や「切なさでキュンとなる曲」の作曲依頼が殺到しているのだそうです。(3)
一概にそういった音楽の在り方が悪いと言うことはできませんが、そんな世の中だからこそ、だいごろうさんのように自分の音楽をしっかり作って、その良さを伝えていくというのはとても意味のあることだと思います。

(ライブ中は巨大なお面も登場しました↑)
音楽の世界ではCDが以前のようには売れなくなったことで、ライブやコンサートでアピールできる人が活躍していくといった原点回帰の現象も起きている一方で、ネットを活用することで、今まで届かなかった人に自分の曲を届けるという可能性も広がっています。
「なぜゴッホは貧乏で、ピカソは金持ちだったのか?」という本によれば、素晴らしい画才を持っていたゴッホとピカソの命運を分けたのは「自分の絵の価値を伝える能力を持っていたかどうか」ということだそうです。(4)
そういったことを考えると「自分の音楽の世界」というのをしっかりと作るのと同時に「どうやってそれを伝えていくのか」ということも非常に大事なんだなあと感じさせられます。
一般の人に求められている作品を作るのか、自分が良いと思う作品を作るのかというのはとても難しいところですが、
・自分が素晴らしいと信じて作ったもので
・他の人に喜んでもらう
ことができたら、それ以上のことは無いのではないでしょうか。
(ライブ終了後の一枚↑)
だいごろうさんは、普段はトラック運転手として全国を駆け回る傍ら「ZIBETA」と称した路上演奏に取り組んでいて、その様子を自身のWebサイトで発信しています。(「音楽活動」だけではなく「伝える」方にも余念がありませんね)
そして、今回のライブは、だいごろうさんが目標としている「武道館でのワンマンライブ」のための1つのステップなのだそうですが、(このブログにも度々登場している)マーチャントクラブの仲間として「0から武道館を目指す」挑戦を間近で見させて頂けるのはとても嬉しく思います。
路上演奏の魅力について「どこでも演奏できるし、一度音を出せば初めて会った人も結構立ち止まって聞いてくれたりするので楽しい」と語っているだいごろうさんですが、今後どのようにその活躍の場を広げていくのかとても楽しみです。
というわけで、今後のだいごろうさんの活動をチェケラ!!(リンクをクリックすると「Dai-Go!-Low オフィシャルホームページ」へ飛びます)
参考:
- 渋谷陽一「忌野清史郎1951-2009 ROCKIN’ ON JAPAN特別号」(ロッキングオン, 2009年) P60
- 渋谷陽一「忌野清史郎1951-2009 ROCKIN’ ON JAPAN特別号」(ロッキングオン, 2009年) P63
- 清水量介 森川潤 「誰が音楽を殺したか?」 (週刊ダイヤモンド 特集BOOKS, 2013年) Kindle No.167
- 山口 揚平「なぜゴッホは貧乏で、ピカソは金持ちだったのか?」(ダイヤモンド社、2013年) Kindle No.7~21