「脂肪を食べると太る」は大嘘。太る油と太らない油の違いって?

「太るからカロリーの低いものじゃなきゃ食べない」

「ダイエット中だから脂っこいものを控えている」

普段の生活の中でこのような声を聞くことはよくありますし、こういった考え方が決して間違っているということもないのですが、そういった発想の背景にあるのは「脂肪を食べると太る」という考え方ではないでしょうか。

しかし、この点について、140kg近い体重を減らすためありとあらゆる食事法やダイエット方法を試して自身の身体を改造したというIT起業家のデイブ・アスプリー氏は自身の身体を用いてとても興味深い実験を行っています。

彼はこの風説に挑むために、なんと1日4000〜4500kcalにもなるほど大量の脂肪を食べる生活を2年も続けたそうですが、従来の栄養学から考えれば「1月当たりで5kgずつ体重が増える」はずであるにも関わらず、彼のおなかはペタンコになったそうです。(1)


また、ハーバード大学の実験で炭水化物中心の食事を行うグループと脂質の多い食事を行うグループとで12週間後の体重を見ると、後者の方が摂取カロリーが多かったにもかかわらず、体重を比較すると差はほとんどなかったといいます。(2)

1日に4000kcalも摂ったのに痩せた!? (*)

すっかり悪者のイメージが定着してしまっているアブラですが、その大半は誤解で、オイルを差さなければ機械が錆び付いてしまうように、人間にとっても油は欠かすことができません。

人類は約400万年前に誕生してから今日まで生きてきた中で、農耕型の生活をし穀物を食べるようになったのはここ1万年くらいで、その前は乏しい食料で生き抜くために肉や魚、木の実から得られて、炭水化物やタンパク質よりもエネルギー(カロリー)の多い脂肪をエネルギーにしていたので私たちの身体にもその仕組みが備わっています。(3)

今でも例えば、カナダのイヌイットやアマゾンの部族などは狩猟や採集によって動物の脂質から摂れる肉や脂質からエネルギーの大半を得る生活を送っているようです。

そもそも脂質とは三大栄養素の1つに数えられるほど重要な栄養素なわけですが、なぜそんなに脂質が重要んなのかといえば、それは人間の脳や臓器、細胞といったの身体の器官は脂肪からできているからなんですね。

脳の60%は脂肪が占めている

そういった事実とは逆に私たちは「アブラ」や「脂肪」と聞くと「悪いもの」とか「減らしたくてしょうがないもの」というイメージをついを抱いてしまいますが、このイメージはどのようにしてできあがったのでしょか。

これは1950年代に、ミネソタ大学が発表した「悪いアブラが心臓病を引き起こす」という実験結果をアメリカの食品業界が原価の安い食品を売るために拡大解釈して「アブラは悪い!」「アブラは太る!」「アブラを減らせ!」といった一大キャンペーンを行ったことにあるようです。(4)

つまり問題なのは「良いアブラ」と「悪いアブラ」があるということで、この点についてデイブは次のように語っています。

「正しい種類の脂肪はかなりの量を食べても太らない。むしろヘルシーな脂肪をたくさん摂ると、これらを自然にエネルギーに変える身体の体制が一層整っていく。」(5)

 

「油=悪者」というのは作られたイメージだった

そこで気になるのはどんな油が「良いアブラ」でどんな油が「悪いアブラ」かということですが、「悪いアブラ」との例として第一に挙げられるのが「トランス脂肪酸で」で揚げ物やマーガリン、ショートニングなどがこれに当てはまります。液体の油を加工や加熱するなどして人工的に手を加えることが原因で発生してしまうものです。

油は、バターや赤身肉のように常温で固形の「飽和脂肪酸」という種類と、植物油や魚の油のように常温で液体の「不飽和脂肪酸」というものがありますが、その「不飽和脂肪酸」はさらに3つのグループに分けられます。

これがよく聞く、オメガ3、オメガ6、そしてオメガ9という油で、オメガ3とオメガ6は身体の中で作ることができない油であるため食事から摂ってあげることが必要です。

一口にアブラといっても種類は様々

ちなみに、このオメガ6とオメガ3は4:1の割合で取ることが望ましいとされていることを考えると、よくテレビで「亜麻仁オイルがいい」などと言った次の日にはスーパーから亜麻仁オイルが消えるなどといった現象がどれだけ馬鹿馬鹿しいか分かるでしょう。

本当に万能な食べ物などないのに「これを飲んでおけば大丈夫」などという発想をしてしまうのはとても危険なことで、結局は自分でしっかりとした栄養の知識を身につける以上の健康法は無いということなんだと思います。

  1. デイブ・アスプリー著, 栗原百代訳.「最強の食事」 (ダイヤモンド社, 2015年) 64ページ
  2. アイザック・H・ジョーンズ著, 白澤卓二監修.「超一流の食事術」(サンマーク出版, 2016年) 47ページ
  3. 藤田 紘一郎. 「なぜ「油」をかえると、長生きできるのか」(知的生きかた文庫, 2015年) Kindle No.496
  4. アイザック・H・ジョーンズ著, 白澤卓二監修.「超一流の食事術」(サンマーク出版, 2016年) 53,54ページ
  5. デイブ・アスプリー著, 栗原百代訳.「最強の食事」 (ダイヤモンド社, 2015年) 81ページ

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